About Mountain Lights

Mountain Lights(マウンテンライツ)は、夏季に「ニセコHANAZONOリゾート」で開催される大規模な光のアートインスタレーション。世界的に著名なイギリス人インスタレーション芸術家、ブルース・マンローによる日本初開催の光の屋外展示作品です。

Mountain Lightsを構成する基本要素は、マンローによるアートワーク「Fireflies」です。24本の光ファイバーケーブルから成る、「蛍」を意味するこの作品は、植物を思わせる有機的で柔らかな幾つもの曲線を描くその姿と、優しく儚げに灯る光が特徴の作品で、この「Fireflies」が幾つも集合する事で、Future LightとArrow Springという二つの作品を作り上げます。スキー場の斜面に沿うように連なった「Fireflies」の合計18万個ものほのかな光の粒は、長さ1.3kmに及ぶ光の帯を山の裾野に幻想的に描き出し、HANAZONOの大地を彩ります。

マンローがニセコという、火山と雪と氷が悠久の年月をかけて形作ってきたこの土地にインスピレーションを受けて生み出した光のアートを感じてください。

空と陸からアートを感じる

Mountain Lightsを鑑賞する方法は二つ。会場へ入場したゲストには、まずはゴンドラ乗り場へ向かい、ゴンドラに乗ってみることをおすすめします。山麓に柔らかな渦を描いた光の帯が、山の斜面を登っていく様を上空から鑑賞することができます。

下車するのは山の中腹にあるゴンドラ中間駅。光のアートに沿う様に散策路が整備されているので、のんびりと散策路を辿り、夜の森から聞こえてくる野鳥や虫の音に耳を傾けながら間近で光のアートを眺め山の麓へ降りていきましょう。

Concept

光は火の現代的な形です。

北海道の先住民族であるアイヌの人々は、火は人を暖め、滋養を与えてくれる、生命にとって最も重要な要素のひとつであると考えました。火の女神カムイ・フチは、アイヌの暮らしに寄り添い、人間の世界と神々の世界を繋ぐ仲介者であり、最も身近で大切な存在とされてきたのです。

一方、遠く離れたオーストラリアでも、アボリジニーの文化の中に類似する伝承が存在します。現在のシドニーとなるエリアに住んでいたトライブは、他者への思いやりと愛しみの心を「 プトゥワ」 と呼んでいました。 自らの手を火に当てて温め、その温もりを他者に伝える行動そのものを指す言葉でもあります。

ニセコの火山が作り出した風景は、雪と氷と火が、私たちの住む地球を創り出すためのダンスパートナーであることを想起させ、地球の溶けた核が星から来たものであり、私たちもそうであることを思い出させてくれます。

すべてはひとつ。この世界のかけ離れた土地で、火という自然の要素に対してとても近い解釈が持たれていたということが、それを明かしてくれます。

火の温かみや思いやりを現すふたつの物語が織り込まれたのが、この光のアート。

24の光ファイバーケーブルから成る、「ファイアフライ-蛍- 」と呼ばれるひとつひとつのオブジェが、ほのかに揺れる18 万もの光の粒をつくりだします。

美しく灯る光ひとつひとつに思いを馳せる事で、人間が持つ優しさや共感の心を研ぎ澄ませてくれる事でしょう。原点である自然に還り、そしてその自然がくれる愛情や温もりを感じ、感謝する。

わたしたち全員が秘めているその力が、再び歩き始めるきっかけとなりますように。

Artist

BRUCE MUNRO

ブルース・マンロー

ブルース・マンローはイギリスのインスタレーション芸術家。人間の営みにおける共有体験に着想を得た、没入型の大規模な光のアートインスタレーションで知られる。

Message

私が光という媒体に出会ったのは、美術学校で学び、ファインアートの学⼠号を取得して卒業した後です。オーストラリアでは、ディスプレイサインを製造する会社で働き、その光り輝く紫外光の特性がとても気に⼊りました。私が光を使った作品を選んだのは、純粋で真実味のある媒体を使って仕事をすることで、頭の中やスケッチブックの中にある多くのアイデアを表現することができたからです。

40代前半になると、 製造業の部品を再利⽤した作品や光を使った作品を作るようになり、それがとても個⼈的なものになりました。そのとき、私はいつも他⼈と違うことを⽬指し、他⼈と違う作品を作ってきたのだと気づきましたが、そのときから私は、共有できる体験を探し始めたのです。私は過去40年間、スケッチブックの日記を書き続け、世界との⼀体感を感じた瞬間や記憶を記録してきましたが、それが光で表現できることに気づいたのです。

世界と最も⼤きな意味でつながっていること、本質的なパターンの一部であることの経験が、私の真の主題となったことを明らかにしてくれました。